箒木蓬生(ははぎ ほうせい)さんの『ネガティブ・ケイパビリティ』です。
初めて聞く言葉だったのですが、これを知ることができてよかったと思います。
ネガティブ・ケイパビリティとは?
まず、この言葉の意味ですが、「わからないこと、どうにもならないこと、説明できないことをすぐに解決しようとせず、その宙ぶらりんな状態に耐える力」のことです。
それに対して「ポジディブ・ケイパビリティ」は才能や才覚、そして処理や問題解決能力のことです。
つまり学校で習うようなことです。目の前の問題を解決する能力のことです。
内容
ネガティブ・ケイパビリティという言葉を聞いて、たしかにこのような経験はあったけど、言語化できなかったので、これを読んでかなりスッキリしました。
この力は全ての人が持っているものではありません。
人間の脳というのは、分からないことに不安を感じてパターン化したりして「理解しよう」とします。
ネガティブ・ケイパビリティは詩人や芸術家、子どもに顕著に現れるようです。
知識、経験、欲望がネガティブ・ケイパビリティを阻害する要因です。
この作者は、精神科医であり、作家なのですが、自身の体験で説明しています。
自身の病院に悩みや、鬱の症状を持つ患者が来ます。話を聞くことができますが、根本的に悩みを解決することはすぐにはできません。
ここで求められるのがネガティブ・ケイパビリティです。
作者は悩みに解決策を提示せず、話を聞き、解決するまで宙ぶらりんな状態に耐えることに努めます。これは、自分の仕事にも活かせそうな感じがしました。
私の経験も似たような経験がありますが、答えが出ない事態に手を出さずにしばらく耐えます。何か月か時間を置くと解決していることって、ありませんか?
これもネガティブ・ケイパビリティと関係しているように思えますね。
時間が解決してくれることもあるよね
歴史とネガティブ・ケイパビリティ
箒木さんは本書で、人間の歴史とも絡めて、この能力を説明します。
皆さんもご存知のトランプ元大統領やヒトラーのような、人に対して不寛容な態度を取る人にはこの力が不足しているようです。
寛容さとネガティブ・ケイパビリティは密接な関係があるようです。
目の前の状況に耐える寛容さが足りないということです。
すぐに決断を出したがる人間の脳のせいで、戦争が起こったり野蛮なことが起こってしまいます。
興味深いものですね。
まとめ
・「ネガティブ・ケイパビリティ」→目の前の不安定、わからない状況に耐える力。
・すべての事柄を解決すればいいというわけではない。
・不安定な状況を耐えることで、時間により解決することもある。
なんだか考えさせられる本でした。
かなり、面白いです。このご時世にピッタリの本だと思います。
心理学とか興味がある人に特におすすめです。
気になる方は是非!
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