フランクルの『夜と霧』です。前から手元にあったのですが、挿入されている写真などを見てなかなか読む勇気が出ず読めなかったのですが頑張って読みました。
内容・感想
医者であるフランクルがユダヤ人であるという理由でアウシュビッツに実際に送られてそこでの体験を医師としての見解を交えながら書いたものです。
これは実話です。
そこでの過酷さが文字を読んでいても伝わってきて、何度も閉じてしまいました。
実際に行われていたことや、看守たちがユダヤ人にしていたことが人間に対してやるようなことではなくて、人間はここまで残酷になれるんだなと悲しくなってしまいました。
しかし、フランクルはこの中でもこっそりと紙と筆記用具を調達してこの体験を紙にまとめます。
なんと看守の精神分析までしています。この勇気と学問に対する愛がすごいなと思います。
牢獄の中の生活
この牢獄の中では、毎日のパン、スープの争いや隊列を組むときに目立たない位置に立つための争いなど毎日のように争いがあります。
看守の目につくと酷いことをされることがあるからです。
このような過酷な環境下では、外的過激な出来事から目を逸らすために内向的なもの、芸術的なものがここではかなり重宝されました。
フランクルが囚人たちを励ますシーンがあるのですがそこでも詩が使われたりもしています。
心理的変化
様々な心理的変化がこの中で起こるのですが、まず見られたのは「無感覚」になることです。
周りで仲間が殴られたり、殺されたりするのが当然の光景になってくると人は感情がなくなり、起こっていることに対して無感動になるようです。
その都度、反応していると精神的に疲れるのが理由なようです。
これは、解放されてからもしばらく続くようで、解放後も嬉しさはなく、もうすでに喜ぶという感情がなくなっているようです。
そして、それを取り戻すのにしばらく時間がかかります。
どのようなスタンスで生きるのか
この過酷な環境の中で、フランクルはあることを学びました。
全員が生きることを放棄しているわけではなく、希望を持つことができる人もいるということです。
フランクルが紹介してる自己放棄の対処法は、「人生に自分が意味を見出すのではなく、人生から問われている課題に自分が全力で取り組むこと」、「将来、誰かまたは何かが自分を待っていると信じること」です。
フランクルが遭遇した苦悩も人生から問われていることであり、自分が正しく解答していくことが使命を果たすことであり、それが生きる希望につながります。
聖書のヨブ記と関連してそうですね
また将来何かが待っていると考えることもそれに対して自分が責任も持つことが求められ、生きるということを放棄できなくなります。
フランクルは愛する妻が待っていると信じていました。
彼はあとから知ったのですが、そのときにはもう妻は殺されていました。
この本を読む意味
今の状況も多くの人の苦悩になっていると思います。
もしかしたら、彼の体験を参考にすると気持ちが楽になるかもしれません。
かなり勇気づけられました。私も、アメリカ行きを目指し、仕事も辞め、公務員採用の合格していたのですが、去年全部なくなりました。笑
これにも何か理由、問われていることがあると思い頑張ってコツコツやれることをやりました。
かなり勉強になると思います。
いいところが多すぎで全部は紹介できません!
毎日、不満を抱いて生活している方には特におススメしたいです。
名著だと思います。気になる方は是非
最後まで読んでくれてありがとうございます!
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